血液浄化法は(1)拡散(透析)、(2)限外濾過、(3)吸着、という3つの物理的原理を応用しています。これらの原理を単独にまたは併用して利用し、生体にとって*過剰である、*不要である、*有害であるなどの物質を除去している、と言うことができます。
拡散(透析)と限外濾過を利用するためには半透膜を使用し、吸着を利用するためには吸着剤、または吸着能を持った半透膜を使用します。
半透膜とは
半透膜はスポンジ状の構造をもち、その隙間の大きさと性質によって透過できる物質が決まります。例えばセロハン膜には直径がおよそ30オングストロームの小孔があいており、この孔を通過できる溶質と通過できない溶質とをふるい分けすることができます。このように、ある物質は通過させるけれども、他の物質は通過させないという性質を持った膜を一般に半透膜といいます。
血液浄化法に使用されている半透膜は、セロハン膜を改良したセルロース系膜と合成高分子膜との2種類に大別されます。除去したい物質の大きさに合った膜を選択することが大切です。(1オングストロームは1億分の1cm)
(1)拡散
物質の濃度に差があるとき、その物質の自由な分子運動によって、濃度が次第に均一になる現象です。静かに置いたコップの水にそっとインクを垂らしたときのことをイメージしてください。気体、液体、固体、のいずれにも拡散現象が見られます。半透膜を通過できる溶質が、濃度の高い方から低い方へ拡散する現象を透析と言います。溶質の移動速度は、分子量が小さいほど早いことが知られています。
(2)濾過
液体や気体を半透膜やフイルターなどの多孔質物質を通過させることによって、通過できない成分を分離することをいいます。半透膜によって隔てられた二つの液体に、機械的な圧力差をつくりだして、溶媒の移動を促進させることを限外濾過といいます。濾過と限外濾過に本質的な違いはありません。溶媒の移動にともなって溶質が移動するために、分子量の大きな物質も比較的に移動しやすくなります。
(3)吸着
固体や液体の表面に、物理学的または生物学的な相互作用により、他の原子または分子が吸いつくことをいいます。活性炭は多孔質で表面積が大きいために吸着性が大きく、安価な非特異的吸着剤として広く活用されています。