須田クリニック・須田内科クリニック|高田馬場 内科・血液透析

03-3207-8161(須田クリニック)

03-3207-3026(須田内科クリニック)

(須田クリニック)〒169-0075
東京都新宿区高田馬場2丁目8-14

メインメニューを開く MENU
上手な止血

透析中・止血時・止血後の出血トラブルは血液の損失となることは言うまでもありません。出血トラブルは創部感染・皮下血腫・穿刺困難・シヤント閉塞などの原因ともなります。さらに衣服・シーツ・止血クランプ・床などの血液汚染を引き起こし、再止血や清掃には多大の労力を費やすことになります。
出血は決してささいな出来事ではなく、患者さんが恐れている、重大な事故のひとつであることを理解しましょう。出血トラブルを起こした時には、「なぜ出血したか、処置は正しかったか、次からはどうすれば良いか」を考えることがスタッフの義務です(考える透析)。上手に止血してシャントを長持ちさせましょう。そして落ち着いて透析を受けていただきましょう。

止血のコツ

  1. 血管壁の針孔を押さえる
    血管の孔は、皮膚の孔とずれています。血管の孔がどこにあるかをイメージしましょう。
  2. 針孔の上流を押さえる
    シヤント肢には指先に向かう血流(表在化動脈など)と、体に向かう血流(シヤント静脈など)があります。血流がどちらに向かっているか分からないと、正しく止血できません。血液が流れてくる方が上流で、流れて行く方向が下流です。針の孔より下流をせき止めると、針の孔から血液があふれ出します。針の孔より上流を押さえると止血できることはすぐ理解できるでしょう。
  3. ガーゼは少し大きめに折る
    小さすぎるガーゼはすぐに的(まと)から外れます。患者さんに動かないで、と要求するのは無理なことです。ガーゼなら三つ折り×三つ折り(約2.5cm角)位がちょうど良いでしょう。
  4. 漏らさないようにしよう、と考える
    もらさないようにしよう、と努力すれば止血がうまくなります。うまくなろうと努力しないひとはなかなかうまくなれません。
  5. 痛くないように気配りする
    痛いと言われて、あわてて圧迫をゆるめたときや、患者さん自身が腕を動かしてしまったときには出血しやすいものです。血管を強く押さえながら針を抜くと、血管の内膜がこすられて痛みを感じます。血管を完全に押しつぶすことがない程度に圧迫しながら針を抜き、針を抜いてから、もう少し圧迫を加えると良いでしょう。
  6. シヤント血流を遮断しない
    シヤント血流を停止させず、出血もさせないことが、圧迫の条件です。圧迫し過ぎると痛いばかりでなく、鬱血も加わって不快感が強くなります。そして恐れているシヤント閉塞を起こします。止血時にはいつも触診でスリルを確認したり、聴診器でシヤントの音を聞くようにするとよいでしょう。
  7. 患者さんの意見を尊重する
    止血について、患者さんに不安や意見がありそうなときは、話をよく聞いてください。ろくに話を聞かず「大丈夫ですから」と、対話を拒否してはいけません。トラブルが起こったときの患者さんの怒りは2倍になります。何が問題か、どうすればうまくいくか、など患者さんから教わることはたくさんあります。医療従事者にとっては「患者さんが先生」であり、基礎研究者にとっては「事実が教科書」である、ということを考えてください。対話を拒否するような「プライド」や「自信」は有害無益です。
  8. 「活きた」絆創膏を貼る
    凧揚げの糸がゆるめば、高く揚がった凧でも落ちてしまいます。止血ガーゼを止める絆創膏も、単に(ただ)くっついているだけでは、ものの役にたちません。絆創膏には命を与えるつもりで、まごころこめてしっかり貼りましょう。
  9. 最後にもう一回、シャント音を確認
    止血が終了したら、シャントの血流が止まっていないことを確認しましょう。これで終了です。お疲れさまでした。お大事に。
  10. 離床後、更衣中や帰宅途上で出血したとき
    「だめじゃないの」と言ってばかりいてはいけません。止めた私たちが悪いのです。適度の圧迫で、ガーゼが脱落しない様に固定し、止血に必要な安静時間を保ち、運動時の注意を与えるようにしましょう。反省のないところに進歩はありません。